今回で4年目となった「DESIGN CAMP@奥大和」では、インドネシア・シンガポール・台湾からのデザイナーに加えて、国内デザイナーは奥大和地域外からの公募という形で実施しました。大阪や東京など都市部から応募があり、選考を重ねて3名に絞り込みました。都市部で誠実にデザインの仕事に向き合われてきた方ばかりで、実力は申し分ありませんが、これまで“ローカル”に触れるような仕事に携わる機会がなかったということで、今回のプログラムに全力で取り組んでくれました。

シンガポールから参加したTillyさんはインテリアデザイン、東京から参加の植木さんは建築家で、これまでのグラフィックデザイナーとは別のクリエイターが加わったが、吉野銘木製造販売が求める提案に対しては最適な組み合わせになったと思います。終了から2週間後には吉野銘木製造販売の貝本社長はすでに提案された商品のサンプルをつくっていました。廣箸も、嘉兵衛本舗も、この出会いをしっかり形にしていきたいと言って動いています。

今回もコーディネートスキルの高い人材を選定して、通訳コーディネーターとして各チームに入ってもらいました。彼らに求められる要件は、ただ言葉を翻訳するというものではなく、互いの気持ちに寄り添って心と心をつなぐためのコミュニケーションを作り出すという役割でスキルとして顕在化させづらいものですが、非常に重要なものだと感じました。

奥大和地域外の国内デザイナー、海外デザイナーも同様であるが、よそものであるがゆえに新鮮な目線で切り取り、編集することで、事業者に大きな気づきを与え、直感的に理解できる“デザイン”に落とし込まれていることで自らの可能性に気づき、さらにそれがただの提案ではなく自らの真の共感と共に歩んでいきたいというメッセージがこもっていることで、実際に踏み出そうという気持ちになってもらえたのだと思う。県を越えて、国を越えても、理解し合える仲間がいるということがなによりの力になるのだということも再確認した。

この4年間で、のべ12名のアジアクリエイターを招聘してきた。日本国内にも3名のデザイナーがいる。奈良・奥大和地域の人とつながり、土地を深く理解した人たちがいることは、これから必ず大きな力になると思う。
このつながりを生かして、よりよい未来を共に作り出していけるような取り組みとしていきたいと考えている。